室内


これがFITのFITたる所以だ



 スピードメーターの造りが凝っている。目盛りと文字盤との間に奥行きが感じられ、立体的だ。これは乗ってみなければわからない。
 今の車はメーター類が完全にバックライト式になっていて、明るさ調整がうまくできないと見難いものになると思うが、明るい昼間にライトを点けても単純に減光することなく、周囲の明るさに合わせて輝度を調節してくれるのでとても見やすい。これなら少しでも視界が悪くなれば、明るい昼間でもメータが暗くなる心配がなく迷わずライトを点けることができる。

 タコメータをあまり見ることはないが、円形のバーグラフ式は見難いと思う。やっぱり指針式のほうが感覚的に見やすいと思う。

 シートは非常によい。座面がたっぷりしていて座面全体で支えてる感じがあるし、腰から背中にかけてしっかり支えてくれている感覚がある。長時間座っていても腰の疲れがない。たまに6〜7時間のドライブをするが、疲れ知らずである。これなら当面はRECAROでなくても満足してしまいそう。

 テレスコピック式ステアリングはとてもよい。シート前後位置を調整するとどうしてもハンドルが遠くなってしまい、不自然なほどシートバックを立てないとハンドル上部をしっかり握れないクルマが多いような気がする中で、このテレスコピック調整があれば本当に違和感の無いポジションがとれる。
 シート高さ調節は、低くしても高くしても違和感が少ないのでどの高さが適切なのかすぐには決まらなかった。これは、一度適切な位置にポジションを合わせたあと、高さ調整をしても前後位置の調整が必要ないためだと思う。結局、現在は最低位置にしている。

 前2席には、このグレードだけのシートヒータが標準装備されている。これまでそんなものは欲しいと思ったこともないが、使ってみれば止められない。ヨメさんも気に入ったようで、シートヒータが使えるならRECAROじゃなくてもいいなどと言っているくらい。

 アームレストのようなものが付いているが、これは物入れのフタになってるだけのもの。これはアームレストとして使うには低すぎる。道理でオプションでアームレストがちゃんと用意されている。

 ブレーキを踏まずにエンジンスタートボタンを押すとアクセサリーモードになる。アクセサリーモードでもう一回スタートボタンを押せばエンジンONモード(エンジンはかからないけど)にして、さらにもう一回押せばOFFになる。

 空調のタッチパネルは操作しにくい。運転中に、パネルの適切なポイントに間違いなく指でタッチすることが非常に煩わしい。というか非常に危険である。Aピラーの太さは安全上のことと理解できなくもないが、このエアコンパネルは絶対に納得できない。ただし、後になって気が付いたが、オートエアコンの出来がいいので、温度設定をたま〜にいじるくらいで、ファンの強弱を含めてその他の操作をする必要がほとんど無い。

 外観から想像するとおり、後方視界はモビリオほどは良くない。でもライバルたちと比べると悪くないほうだと思う。

 自動減光ルームミラーは優れものである。確かに、じかに見ればとても眩しいライトも、このルームミラーだと我慢できないような眩しさではない。昼も夜もノータッチ、とてもいい。

 Aピラーの太さは評判通り殺人的で、右に曲がるような状況では意識して頭を動かさないと危険を感じるほど視界がさえぎられる。

 後席はとても広い。モビリオのときもそうだったけど、ドライブ中に休憩するとき、リアシートに移動してゆったりすると快適。